吉野紙 漆濾紙

吉野紙は、日本の伝統的な和紙の一種で、特に「漆濾紙」として知られています。漆濾紙とは、その名の通り、漆を濾すために専用に作られた和紙です。吉野紙は、江戸時代から続く歴史を持ち、極めて薄い楮(こうぞ)を原料としながら、強度があり、柔らかく、ふっくらとした質感が特徴です。

その優れた濾過性と独特の柔らかい手触りにより、漆や油の濾過用としてだけでなく、「吉野和良(やわら)」や「やわやわ」とも呼ばれ、女性の懐中紙としても広く親しまれてきました。

吉野紙 漆濾紙

吉野紙の作られ方

吉野紙の製作は、非常に緻密で丁寧な工程を必要とします。
まず、純粋な繊維のみを使用するため、原料処理には特別な手間がかけられ、この過程は「濁出(にごだし)」と呼ばれます。紙を漉いた後、紙は「簀伏(すぶせ)」と呼ばれる技法で、濡れた状態で干し板に貼り付け、天日で乾燥させます。この干し板には柿渋や胡粉(ごふん)が塗られており、紙が乾燥後に容易に剥がれるよう工夫されています。最後に、極薄の紙を丁寧に裁断し、1枚ずつ取り出しやすく仕上げます。

伝統的な男女の共同作業

吉野紙の製作は、複数の工程を必要とし、夫婦での共同作業が伝統的に行われてきました。男性が原料処理や紙漉きなどを担当し、女性が天日乾燥を行うなど、役割分担がしっかりと根付いています。この協力体制により、吉野紙の技術が代々受け継がれてきました。

 

文化財となった吉野紙

吉野紙は、その優れた品質から、無形・有形文化財の保存にも重要な役割を果たしています。特に漆濾紙として、漆芸作品や歴史的な遺産の保護に欠かせない素材となっており、この貴重な技術を未来へと伝えていくことが求められています。

そんな、貴重な紙をKASOKEKIでは使わせていただいています。
主にtype 麻落水漆濾という作品で使っているので、体感してみて下さい。